傲慢さ……

私は、一年位前まで、一般企業に就職するということを全く考えていなかった。

芸術で身を立て、好きなように生きていたいとのんきなことを思っていた。

企業で、みんなと連携して働くなんて絶対いや!!!と思っていた。アホらしい、とすら思っていた。

私には隠れた才能が眠っている。そう確信していた。

周りの、名もなき社会人達を心の中で見下していた。

――あんたらは才能もないから好きでもない仕事をしていやいや生きている。私はあんたらとは違う!!

 

こんな発想に至った経緯はやはり、父親だ。

父は好きでもない仕事をいやいやこなして、毎日のように不機嫌だった。

「明日も嫌々仕事に行く」と自ら公言していたくらいである。

 

私は、両親や同級生のようになりたくない。

好きなことで、生きていく。

本気でそう思っていた。

具体的な努力もせず、才能がないことに気づかないふりをして……。

自分の作った作品で自分という存在を周りに認めさせたい。

自分は芸術しかない!! そう思ってたから就活は一切しなかった。

 

時というのは不思議だ。

私は今、自分に才能がないということがはっきりとわかっているし、就活を始めている。

この間、面接を受けた。

上記のことを面接官の人に話した。

嘘をついたり、カッコをつける必要なんてない。

ありのままの傲慢だった自分をさらけ出した。

後悔はない。

もし、受かったら今度こそしっかりと働いて人の役に立ちたい。

傲慢さに気付けたきっかけ。。特に大きなきっかけはなくて、あえていうなら時が気づかせてくれたってことと、大平光代さんの本のおかげかなぁ?